君が教えてくれた事
誕生日
「宝来くん、おはよう!」
「おはよう。」
野上と話をしたあの日以来、少しだけ変化があった。
みんなが俺に挨拶をしてくれる。
俺自身も、返事をする様になった。
俺の前で、嫌味をいうヤツもいなくなった。
もしかしたら、野上が何か言ってくれたのかもしれない。
慣れない状況に戸惑うけど、リカは嬉しそうに笑ってる。
リカは、毎日メールをくれる。
起きたら“おはよう!”寝る前に“おやすみ!”
俺の携帯の受信ボックスは、少しずつ、リカからのメールで埋まっていく。
あの日以来、リカとはバイト以外では会っていない。
俺の家の冷蔵庫には、賞味期限の切れたシュークリームが、未だに入っている。
前半上がりの今日、俺が洗い場を出ると、リカが近づいて来た。
「歩太、もう帰っちゃうの〜?さみし〜いよ〜」
リカは今日はラストまで。
「頑張れよ。」
俺がそう言うと、リカは笑って頷く。
コンビニで弁当を買って帰り、部屋で食べいると、俺の携帯がなった。
リカはまだバイト中のはずなのに。
〈Happy Birthday
歩太、22歳のお誕生日、おめでとう
歩太にとって、幸せな1年であります様に・・・・・・〉
時計を見ると、12時を少し回っていた。
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