君が教えてくれた事



家の中で、俺はいつもお母さんの機嫌を気にしていた。



なるべく怒らせない様に、近づかないように・・・。






小学3年生の時、優しかったおばあちゃんが、突然死んだ。



入院していた事も、教えてもらえなかったんだ。



すごく悲しくて、悔しくて、


それをお母さんにぶつけてしまったんだ。



「どうしておばあちゃんに会わせてくれなかったの!病院に連れて行ってくれなかったのっ!」



俺が叫んだ次の瞬間、左頬に激しい痛みを感じた。



冷たい目で俺を見下ろす母親は、



「そんなにおばあちゃんが好きなら、アンタも行っていいのよ?」



そう言ったんだ。



その言葉の意味を、俺はハッキリと理解した。



その日から、俺は毎日、母親に殴られた。



何か理由をつけて。

最初は素手、その後は、家にある全ての物が、俺を殴る武器になった。



いつの間にかそれは、タバコに変わっていた。



母親の気にくわない事があると、お仕置きだと言って、背中を焼かれた。



ものすごい痛みと、皮膚の焦げる臭い。

苦痛に声を上げると、更に押し付けられた。



小学生の俺は、耐える事しか出来なかった。





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