君が教えてくれた事



母親はきっと、どこかおかしかったんだ。




俺をいじめる事を楽しんでいた。



全てがめちゃくちゃだった。




真冬には、あえて半袖を着せられた。




修学旅行の前日に、珍しく旅行の用意をしてくれたと思えば、当日に欠席の電話をする。



泣き叫ぶ俺を、また殴るんだ。







そして、小学6年生の冬。



学校の委員会で、いつもより帰りが遅くなった俺は、家に入れて貰えなかった。


何度ドアを叩いても、“開けて!”と叫んでも、何の反応も返って来なかった。




寒くて、お腹がすいて、悲しくて・・・



俺は、1人で近く公園に行った。



少しでも、寒さをしのごうと、遊具の中に潜り込んで、体を丸くして、ずっと泣いていた。




いつの間にか眠っていて、目が覚めた時には、何人もの人が、俺の事を見下ろしていた。



看護婦さんの姿を見て、そこが病院だと分かった。



体を調べられて、いろんな事を質問された。



でも、俺は怖くて何も答えられなかった。





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