君が教えてくれた事



「歩太、嫌だよっ!

歩太の傍にいたいよっ!

私が歩太を愛すからっ!

愛してくれなくてもいいっ!

歩太といたい・・・。」



リカはそう言うと、俺を力いっぱい抱きしめてくれた。




『私が愛すから・・・』




こんな俺を、愛してくれるの・・・?



誰にも愛された事のない俺を・・・








堪えきれなかった。


何年も我慢し続けて、押し殺してきた感情が、涙になって溢れ出した。





本当はずっと怖かった・・・



寂しかった・・・



誰かに愛して欲しかったんだ。


気付いて欲しかったんだ。








情けなく流れ出した涙をリカは優しく拭ってくれる。




そして、すごく優しい顔をして、俺にキスをしてくれたんだ・・・





.
< 77 / 260 >

この作品をシェア

pagetop