君が教えてくれた事
「私は、本当に弱虫だったの・・・。
誰も私の気持ちなんて、分かってくれないんだって・・・
勝手に自分を可哀想な子にして、嫌な事から逃げてばっかりだった・・・。
でもね・・・美月が、泣いてくれたの。一緒に泣いてくれたんだ・・・。嬉しかった。だから、もう一度頑張ってみようって・・・そう思ったの。」
当たり前だけど知らなかった。
リカに、こんな辛い過去があったなんて・・・
リカはいつも、幸せそうに笑っていたから・・・
周りのみんなに、優しかったから・・・。
リカは、弱虫なんかじゃないよ。
俺と違って、
一生懸命、生きてきたんだから。
「リカも俺も、・・・もう、一人じゃない。」
震える小さな体を、力いっぱい抱きしめた。
「歩太、ずっと傍にいて・・・」
大切にしたい。
リカにはずっと、笑っていて欲しいから。
本当に、好きだから。
その気持ちだけは、自分自身を誇りに思えるんだ。
俺は、自分からリカにキスをした。
俺達は、ひとりぼっちの寂しさを知っているから、
お互いの存在を確かめ合うように、
何度もキスを繰り返して、
抱きしめ合って、
泣き疲れて、眠ったんだ。
すごく、温かくて、安心して眠る事が出来たんだ。
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