君が教えてくれた事
リカはそのまま俺の隣の椅子に座った。
ニコニコと俺を見上げて、なかなか料理を食べ始めない。
「早く、食べれば?」
俺がそう言うと、リカは、ぷぅっと頬を膨らませて、やっと食べ始めた。
俺は、更衣室に入って、先に着替えを済ませた。
更衣室を出た俺は、リカの向かいの椅子に座った。
そんな俺の行動に、
「歩太っ!こっち座ってよっ!」
リカは不満そうに俺を見て、軽く睨む。
俺が動かないと、リカは立ち上がって、また俺の隣に座る。
素直に動くリカが、かわいくて、思わず笑ってしまう。
「歩太、キスは?」
俺の顔を見上げて、俺の腕を軽く掴むと、リカは甘える様にそう言った。
ここがバイト先で、いつ誰が入ってくるかも分からない休憩室だって分かっていても、俺はもう、自分を抑える事が出来なかった。
リカの手を握って、リカの唇に、そっと自分の唇を重ねた。
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