君が教えてくれた事
リカのオデコに自分のオデコをくっつけて、リカの目を覗いてみた。
恥ずかしそうに俺を見つめて、何度もゆっくりと瞬きを繰り返している。
自分に『彼女』という存在が現れるなんて、考えた事もなかったのに、今は目の前にいるリカが愛しくてたまらない。
俺の事なんて・・・
信じられない気持ちはあるのに、リカの目を見ていると、リカが俺の事を、ちゃんと愛してくれているんだって、そう思えるんだ。
すごく切ない顔をして、ゆっくりと俺の顔に、自分の顔を近づける。
リカが目を閉じたと同時に、バックルームのドアが勢い良く開いた。
その瞬間、リカの目も、驚く様に大きく見開いた。
「・・・何やってんの?」
リカは俺を通り越して、声が聞こえた方を真っ直ぐ見て、気まずそうに、口元をヒクヒクと動かしていた。
俺の体も、少しばかり固まった。
ゆっくり振り返ると、リカと同じ様に、目を見開いた野上が立っていた。
マズイ所を見られてしまった。
頭では分かっていたのに、どうしても止める事が出来なかったんだ。
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