君が教えてくれた事
開店準備を済ませた店内で、みんなが休憩をする。
ここの従業員は、仲がいいのか、みんな固まって、流行りの音楽の話や、昨日のテレビの話を、楽しそうにしている。
俺はみんなから少し離れたテーブルに座った。
「宝来くん、こっち来て一緒に話そう?」
声をかけてくれたのは、リカ。
でも、俺には必要ない。
「もう、リカいいよ!」
「リカちゃん、ほっときなよ!」
そんな声が聞こえた。
でも、リカは俺の目の前の席に座ったんだ。
「宝来くん、私、上原リカ。19歳のフリーターです。ここのバイトは週5回、入っています。これから仲良くして下さい!」
顔を上げると、リカはニッコリ笑っていた。
不思議だった。
みんなの反応の方が正しいんだ。
俺みたいな奴には、関わらない方がいい。
関わりたくない。
そう思うのが普通だ。
.