君が教えてくれた事



開店準備を済ませた店内で、みんなが休憩をする。



ここの従業員は、仲がいいのか、みんな固まって、流行りの音楽の話や、昨日のテレビの話を、楽しそうにしている。



俺はみんなから少し離れたテーブルに座った。



「宝来くん、こっち来て一緒に話そう?」




声をかけてくれたのは、リカ。


でも、俺には必要ない。






「もう、リカいいよ!」


「リカちゃん、ほっときなよ!」



そんな声が聞こえた。




でも、リカは俺の目の前の席に座ったんだ。




「宝来くん、私、上原リカ。19歳のフリーターです。ここのバイトは週5回、入っています。これから仲良くして下さい!」



顔を上げると、リカはニッコリ笑っていた。



不思議だった。


みんなの反応の方が正しいんだ。



俺みたいな奴には、関わらない方がいい。



関わりたくない。



そう思うのが普通だ。




.
< 9 / 260 >

この作品をシェア

pagetop