命の源
自己嫌悪に襲われながら、私はその場を立ち去ろうとした。




「夏木ならいいの?」




雄介が思いがけない名前を出すから、立ち止まり振り返る。




夏木?




何故ここで夏木明人?




困惑しながらも、思い出す。




試験の後の眩しい夏木の表情。




「そうだね。夏木なら誰かを守れるかもしれないね。」



私は心からそう思った。




でも、雄介が誰かを幸せに出来ないなんて思ってなかった。




あんたならきっと幸せになれるから。




でも、私じゃあんたを幸せに出来ないから。




だから、私なんかじゃなく、幸せをくれる人と幸せになってね。
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