叶えたい花。

今一緒にいんのは俺だが?

 その帰り道、甲斐先輩とこんな話をした。

「先輩」

「…」

「先輩」

「…」

「甲斐先輩」

「あ?」

「手、痛いです」

「知るか」

 そう言いながら、甲斐先輩は手の力を少し緩めてくれた。

「ありがとうございます」

「…、星は好きか?」

「月の方が好きです」

「あ?」

「明るい所にいても、雲に隠れても」

「存在してるってか」

「そんな感じです」

「ふーん?ばかじゃねぇの?」

「えぇ、そうですね」

「面白くねぇやつ」

「よく言われます」

「ただの幼なじみもお前みたいなやつのどこがいいんだかな。気が知れるぜ」

「そうですね、何でなんでしょうかね」

「ふん、ばかじゃねぇの?」

「聞き飽きました」

「仕様がねぇだろ、ばかなんだから」

「…バカじゃないです」

「じゃあアホで」
< 11 / 59 >

この作品をシェア

pagetop