叶えたい花。

「違います」

 そう言いながらも、私はそんな甲斐先輩の手が不思議で仕様がなかった。すると、

「君…!」

 この田舎町の新人お巡りさん、片桐さんだった。

「ここで何をしているんだ。女の子が出歩いていいのは9時までと町で決まっているだろう!」

 そう言って片桐さんが私を責めようとすると、甲斐先輩が

「さーせん。俺がついていれば大丈夫かなって思ったんです。軽率でした」

 と、私をかばってくれたのだった。

「君は確か…」

 片桐さんが何かを言い掛けたのを余所に、甲斐先輩は

「失礼します」

 と、片桐さんから解放されようとしたが、そうはさせてくれなかった。

「待ちなさい!今までは陽輝君だったから許してきたけど、お前はダメだ!」

「あんで?お巡りさん、偏見はいけねぇぜ?」

「先輩、私はもういいですから…」

 そう言って今すぐ怒鳴りだしそうな甲斐先輩を止めようとすると、

「お前は黙ってろ。つーか文句ならそいつに言えよ、そいつが迎えに来なかったからこうなってんじゃねぇか」

 と、私を止めて陽輝が迎えに来なかったことを片桐さんに話した甲斐先輩。片桐さんは、

「そんなはずは…」

 と、甲斐先輩の話を疑っていたけど、
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