叶えたい花。
 
「私の家、こっちです」

「わーってるって、散歩だ散歩。こんな日に星見ないなんてもったいねーだろ?」

 甲斐先輩は、そうやって優しい笑みを浮かべた。

「良い場所連れてってやるよ。天然のプラネタリウムだ!」

 子供みたいにはしゃぐ甲斐先輩を、ちょっと意外と思いつつも、嫌いじゃないプラネタリウムを見れると言うことで、内心私もわくわくしていた。
 そんな甲斐先輩が何をしたいのかは、もちろん私にはわからない。でも、今の私たちには陽輝とは違う居心地の良さが、清々しいくらいにあった。
 なにも疑わずにどんどん進んでいく甲斐先輩。でも見たことのない道しか通ってない私にとっては、不安でならなかった。そして、つい

「先輩、ここどこですか?」

 と、聞いてしまった。

「内緒だっつーの。俺の秘密の場所だかんな」

 と、それ以上何も言ってくれなかった。私は、

「気になります、ここどこですか?」

 と、もう一度聞いてみた。すると、

「ここだよ」

 と、甲斐先輩は振り返って私を見た。

「わっ…」
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