叶えたい花。
　私が、先輩も苦労してるんだなっと実感した瞬間だった。

「他の奴らも奴らだ！あんな奴らに乗せられやがって」

「先輩？」

「お前もお前だ！黙ってやられてんじゃねぇよ！」

　と、私にまでお説教が回ってくる。私は、素直に

「すいません」

　と謝るしかなかった。でも、甲斐先輩は本当にむしゃくしゃしているらしく、

「謝ってんじゃねぇよ！」

「すいません…」

　怒られてしまった。
　いつも笑っている甲斐先輩の、こんな姿を初めて見たもので、どう対処したらいいのやら。

「わーってんだよ、俺のせいでお前がそーなったってことくらい」

　急に弱気なことを言った甲斐先輩に驚く私を余所に、甲斐先輩はこう続けていた。

「わーってんだよ、お前がどうしてやり返さなかったかくらい。まだ軽くしか見てねぇけどわーってんだよ、お前がどういう奴かくらい。なんとなく」

　甲斐先輩の握り締めていた両手の拳に力が入る。でも、私は黙って聞いていることしかできなかった。

「でもそれを鵜呑みにしたら何もできなくなっちまう…。お前のそばに…いられなくなっちまう…」

「…！」

　私のそばにいたい？甲斐先輩が？
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