叶えたい花。

まだ言いたくねぇけどな


「なーんてな。どうだ~?惚れたか?」

 と、いつものおちゃらけた甲斐先輩に戻ってしまった。
 内心、がっかりしている自分がいたけど、

「惚れるわけ無いじゃないですか」

 と、高鳴る鼓動を抑えつつも冷静を装った。

「ちぇっ、絶対惚れさせてやっから」

 と、私を指差して保健室から甲斐先輩は出て行ってしまった。
 さっきの弱々しい甲斐先輩は何だったのかと考えていると、

「面倒な人に目、付けられたわねぇ」

 と、保健室の先生が話しかけてきた。私は思わず、

「へ?」

 と、聞き返してしまった。でも、先生はこう言ってきた。

「これから大変よ、あなた。いつでも相談しに来なさい?」

 何のことだかわからない私は、なんとなくで

「はぁ」

 と、返事したのだった。いったい先生は何を言いたかったのだろう。
 理由もはっきりしないまま、今日は早退することになった私。
 明日は土曜日で、休み明けに学校行くのがすごく気まずくなる私を余所に、父が迎えにきたのだった。
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