叶えたい花。
「はい…、お父様…」

 黙って従うしかない私に、予期してなかったことが起きた。
 自分の部屋に戻ると同時に、窓をノックされる音がする。その音の方を見てみると、そこにいたのは甲斐先輩だった。
 もちろん、甲斐先輩が来たことにも驚いた。でも、一番驚いたのはどうやって二階に登ってきたのかということだった。
 私は、急いで窓を開けて、

「何してるんですか、先輩!」

 と、甲斐先輩を中に入れてから聞いてみた。すると、

「どーよ、びっくりしただろ?」

 と、甲斐先輩は楽しそうに言ってきた。私は、

「そうですけど!」

 と、言い返した。でも甲斐先輩は、

「これ、差し入れ」

 と、渡してきたのは一口サイズのチョコレートだった。私が、

「あ、ありがとうございます」

 と、素直に受け取ると、甲斐先輩はそれでよしと言うような表情をしたのだった。

「で、どうしてここに?」

 私は、無理矢理切り替えた感満載のやり方で、もう一度甲斐先輩に聞いてみた。すると、

「あんだっていいだろ…?」

 と、鼻を掻いたのだった。
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