叶えたい花。
 自分でもなぜかわからない。でも、自然と泣けてきた。そんな私の異変に気付いたのか、シゲはちらっとこっちを見た。そして、

「教室の奴らもセンコーもみんな、面倒くせーんだよ。何が仲間だよ、何がべんきょーだよ。何がせーせきだよ。こちとらそんなこと気にしちゃいねぇんだよ。ただ一人、話せる奴がいればそれでいーんだよ」

 と、言っていた。私は、そんなシゲにこう言うことしかできなかった。

「そ…か…。よか…た…ね…」

 それ以上声を出したら、本気で泣いてしまいそうだった。自分でもよくわからないけど、それくらい不安定だった。
 シゲは、

「何がよかったねだよ。自分のことのくせに」

 と、いつものシゲらしくない優しさを呟くようにくれた。でも私は、頭がいっぱいいっぱいでちゃんと聞き取れず、

「え…?」

 と、聞き返してしまった。シゲは、相変わらずの低い声で、

「もう言わねぇ」

 と、言い返してきたのだった。まぁ、そうだよねと思いつつも、少し悲しんでいる自分がいた。

「そこ、座れよ。どうせ今から行ったって無駄だろ?」

 と、さらっと一緒にサボれというシゲに、私は黙って従うしかなかった。
< 38 / 59 >

この作品をシェア

pagetop