叶えたい花。
「俺んち、ここの理事の家なんだ。家族はすげー頭良いし、人も良い。だから、俺みたいな不良はみんな毛嫌いしてんのさ。ここの教師共と一緒だ。だから、なんとなく俺はサボってるわけ。自分の家に帰れば家庭教師いるし、わざわざここでも勉強する必要ねぇかなってよ。それに、ちゃんとテスト受けてっし、ちゃんと一位キープしてんだろ?だから、親も何も言わないってわけ」
今日のシゲは、いつもよりお喋りでいつもより真面目だった。
「てか、別にお前のことが嫌いとか好きとかじゃなくてただ周りが鬱陶しいだけ。お前が泣く理由なんてどこにもねぇんだ。第一、俺から積極的?に話しかけてんのってお前くらいだろ?ってこと」
そう言われてみればと、私は今までのシゲの行動を思い出していた。
確かにシゲは、私の所にはよく来るけど、他の同級生やいると思っていたサボり仲間などと話してることは見たことがない。先生方とも最低限の会話しかしてないし。
「わかったか。お前は、俺のお気に入りなんだ。泣く必要なんてねぇし、俺が困る事なんて何もねぇ。いつも通り俺に茶化されてればいんだよ」
一様、彼なりの慰めだった。まぁ、言い方は少し気に食わないけど、それでもやっぱり嬉しかった。
「泣いたり笑ったり…。お前ってほんと忙しい奴だな?全然掴めねぇ。泣くか笑うかどっちかにしろよ」
と、シゲは言っていたけど、私たちの雰囲気は、確実に良くなっていた。
「シゲは…それでいいの…?」
と、私が聞くと、