叶えたい花。

しゃーない!帰してやる

 すると、シゲは何かを察したようにこう言ってきた。

「桜…、間に合わなかったな…」

 私はというと、

「今年はしょうがないよ」

 と諦め半分に返した。

「そんなもんかねぇ」

 と、シゲが納得していないようなことを言っていると、

「自然の成り行きだよ」

 と、私は言った。すると、シゲは私の腕を掴んで

「次、いっくぞ~」

 と、また歩き出した。

「次はどこ?」

 と、私が言うと、

「お前が行きたがってた場所だよ」

 と、シゲは言ってきた。
 私の行きたがってた場所というのを思い返していると、高校の方の裏庭に帰っていくのがわかった。

「私が行きたがってた場所って?」

 と、念のために確かめてみると、シゲはこう言った。

「わかんねぇか?」

 私は、にやりと笑ったシゲに安心感を覚えるようになっていた。
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