叶えたい花。
 そんな時、私は決まってこう言う。

「今日のお弁当、一口もらうから」

「えぇっ!」

 これを言うと、どんなときでも顔を真っ赤にして声を上げるんだ。
 照れているのか何なのかはいまいちわからないけど、私はこれをすると結構安心する。

「き、今日だけですからねっ!!」

「はーい」

 怒っているりょーくんを余所に、私は資料室へと急いでいた。

「せ、先輩!あの…!」

「?」

 まだ真っ赤になっているりょーくんの方へ振り向くと、りょーくんはこう言ってきた。

「迷惑…ですか…?一緒にいるの…」

 私はというと、ため息を吐いてからこうりょーくんに言った。

「…。迷惑すぎて一緒にいないと不安だよ」

 りょーくんは、

「えっ!そっ、それはどういうことですかっ!」

 と、声を上げながらとうとう転んだ。
 舞い散るプリント類を集めながら、私はりょーくんに、

「大丈夫?」

 と、手を出した。りょーくんは、

「わゎっ!だ、大丈夫ですっ!す、すいません…!」

 と、自分で立ち上がった。私はというと、この毎度ながらの反応になれているせいか、あららと思いつつも、
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