叶えたい花。
「ほんと女の人はダメなのね~。触れる人いるの?」
と、意地悪程度に言い返した。
「えぇ…、たぶん…」
と、りょーくんは曖昧な返事をしたのだった。
本気で返されそうになると、いたずらに言った方は正直焦る。アメリカ人でいう、アメリカンジョークと同じくらい適当なものだから。
「りょーくん、ジョーク」
と、私が言うと、りょーくんは少し赤くなって、
「は、はい。すいません」
と、めがねをクイっと上げた。私は、軽くため息を吐いてから、
「…、ほい」
と、ばらまかれたプリント類をりょーくんに返した。
「ありがとうございます」
すんなりと受け取ったりょーくんに対し、私はさっさと進んで行った。
もちろん、りょーくんから早く離れたいわけじゃない。ただ、りょーくんは不運だから時間があるときじゃないと付き合ってられないので、申し訳なかった。
なんだかんだ玄関から近い資料室には、妙な雰囲気が流れ出していた。
正直、お化け類が苦手な私は資料室のこの雰囲気も苦手だった。
「鍵、開けますね」
と、りょーくんが資料室の鍵を開けて、私を先に入らせる。