*Lampone*
「ほら。次の時間音楽だよ!!音楽室に移動しなきゃ!」
私はさらっと話を逸らす。
「あー…ひまり話逸らしたでしょ」
「えー??逸らしてないよー?」
美咲は少し不満そうな顔をしつつリコーダーと教科書を机の中から取り出す。
私も教科書とリコーダーを抱えて美咲を早く!と急かす。
「リコーダー吹くのあんまり好きじゃなーい」
「私は結構好きだよ」
他愛もない話をしながら音楽室に向かっていたその時。
「もーらいっ!!!」
私が抱えていたはずのリコーダーが宙に舞う。
「あっ!黒谷!!」
私からリコーダーを取り上げたのはクラスメイトの男子だった。
「城田…取り返したらいいんじゃないのー?」
黒谷はニヤニヤしながらリコーダーを上に掲げる。
「取れないのわかっててやってる?」
「え?取れるだろ?」
黒谷はわかっててやってるらしい。
黒谷はたぶん身長は160cm程。
男子の中ではそんなに高い方でもない。
けれど、私の身長は145cm。
つまりすごく小さい。
私が背伸びしたところで届きそうにもない。
私が少し悔しくなっていたその時。
「黒谷やめとけー」
美咲は少し背伸びをしてひょいっと黒谷からリコーダーを取り上げる。
「美咲ありがとう!!」
「どういたしまして」
美咲は身長が160cmあって女子の中で高い方。
「ちぇっ、長谷川が取ってもおもんねーよー」
「ひまりをからかうんじゃない!」
美咲は少し叱る形で話す。
「ほーい」
黒谷はダルそうに返事をしてそのまま去っていった。
「ひまりも大変だね」
「美咲身長分けて本当に…」