We know








あいつには彼氏がいたけど、どう見ても瑞希といるほうが幸せそうだったし、なによりお似合いだった。


あいつは、瑞希のことが好きで、瑞希も、あいつのことが好きだと思っていた。


「幸望ちゃんは、妹みたいな存在だよ」


なんて瑞希は言っていたが、俺も亮二も奏多も、そうじゃないことくらいわかっていた。


誰よりもはやくあいつの変化に気づき、あいつの傍にいてやる。


その時の瑞希の顔は驚くくらい優しい顔をしていた。


慈しむような目であいつを見ていた瑞希。


そんな顔で見ていて、誰が気づかないでいられるんだっていうくらいベタ惚れなクセに。


最後の最後まで、瑞希は自分の気持ちを言わなかった。


俺らにも、あいつにも。









 
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