空のギター

青い春を生きて

 雪那と頼星は、軽音部の部室に居た。同級生四人と共に軽音部に入っている二人は、更にこの六人で“dice”というダンスユニットを組んでいる。昔はよく路上で踊っていたが、最近はめっきり活動が減っていた。今日の軽音部の集まりも、実は久し振りなのである。



「それにしても、雪那と頼星が転校しなくて済んで本当に良かったよ!卒業前に解体なんて嫌だもんな。」



 リーダー兼エレキ担当である煙草色の短髪少年・高杉耀人(あきと)が微笑めば、長めに残した黒髪の毛先をワックスで遊ばせたドラマー・霧谷叶(きりや きょう)が「一時はどうなることかと思ったけど、お前らが戻ってきてホッとしたよ!」と安堵の表情で言った。

 彼ら二人は、雪那と頼星と同じクラスだ。耀人は比較的真面目なのだが、少々騒ぎすぎてしまう叶が揃えば、授業中だろうと部活のノリが出てしまうらしい。雪那は注意しながらもそれに付き合ってしまうので、「お前らうるせぇぞ」とたしなめるのはいつも頼星の役目なのだ。

 他のメンバーである女子二人は、それぞれ違うクラスだ。予定の合う放課後に部室で待ち合わせというのが、いつもの部活のパターンだった。
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