空のギター
「そういえば、八年間ろくに離れたことないもんねぇ……薄情な相方でごめんね?」

「薄情っつーか強情だよな、むしろ。」

「それはお互い様!」



 小学・中学と、共に駆け抜けてきた時間が思い出される。人によって捉え方は違うが、二人にとっての八年は、長いようでいて短かった。例えるなら、夢中で泳いでいたら何時間も経っていた後のような、もしくは読書に没頭し、気付けば徹夜していた時のような感覚なのだろう。巡る日々は、楽しくて、苦しくて、嬉しくて。いつの間にか、そんなにも時が流れていたのだ、と。



「ご飯食べた?」

「今日はまだ。たまには一緒に食ってやろうかと思って。」

「……とか何とか言って、手ぶらってことは自炊が面倒だから来たんでしょ?大した物は出せないけど、座って待っててね。」



 やれやれ、といった顔で笑う雪那。面倒臭がりな頼星のことを分かっているからこその表情である。頼星は「あ、バレた?」と言い、ニヤリ、口角を上げた。

 頼星が事務所からの連絡の有無などをチェックしている間に、二人分のトースト・スクランブルエッグ・ツナサラダが運ばれてきた。よく冷えた野菜ジュース入りのコップも、二つ。
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