空のギター
「沙雪、私達も元気だよ。今日は市販のお菓子になっちゃったけど、今度は沙雪の好きなアップルパイ持ってくるからね!」
「茜が来られなくてね、凄く残念がってたよ。次は絶対連れてくるわ。」
「雪那ちゃんはウチらに任せといて!また来るからね。」
友人達も、持ってきた花やお菓子を供えながら微笑を浮かべている。その内に、雪那の両親は墓周りの掃除を始めた。みんなが次々に沙雪と言葉を交わしたが、雪那は寂しげに目を細め、ジッと彼女が眠る場所を見つめている。両親と沙雪の友達が気付き、何か言葉をかけようとした。すると雪那は深く息を吸い、“素のトーン”で姉に語りかけた。
「……お姉ちゃん、ずっと来れなくてごめんね?私、約束守ったよ!やっとプロになれたの!!今度CD聴かせるから、待っててね?
あとね、今年は遂に受験生になったんだ。数学は頼星に教えてもらってるから大丈夫だよ!受験も仕事も頑張るから、応援しててね!!」
やけに明るい笑顔と口調が、反って同伴者達の胸を締め付ける。それに気付かないのか、雪那は笑顔のまま、沙雪を見つめていた。
──線香の煙が、ゆらりと揺れる。風に吹かれた木の葉が、カサカサと音を立てた。
「茜が来られなくてね、凄く残念がってたよ。次は絶対連れてくるわ。」
「雪那ちゃんはウチらに任せといて!また来るからね。」
友人達も、持ってきた花やお菓子を供えながら微笑を浮かべている。その内に、雪那の両親は墓周りの掃除を始めた。みんなが次々に沙雪と言葉を交わしたが、雪那は寂しげに目を細め、ジッと彼女が眠る場所を見つめている。両親と沙雪の友達が気付き、何か言葉をかけようとした。すると雪那は深く息を吸い、“素のトーン”で姉に語りかけた。
「……お姉ちゃん、ずっと来れなくてごめんね?私、約束守ったよ!やっとプロになれたの!!今度CD聴かせるから、待っててね?
あとね、今年は遂に受験生になったんだ。数学は頼星に教えてもらってるから大丈夫だよ!受験も仕事も頑張るから、応援しててね!!」
やけに明るい笑顔と口調が、反って同伴者達の胸を締め付ける。それに気付かないのか、雪那は笑顔のまま、沙雪を見つめていた。
──線香の煙が、ゆらりと揺れる。風に吹かれた木の葉が、カサカサと音を立てた。