空のギター
「……みんな、お腹空いただろう?恵美が買ってきたケーキが家にあるから、是非上がって行ってよ。」
「そういえばそうだったわ!真帆ちゃんと香奈ちゃんと詩織ちゃん、いつもありがとうね。雪那、三人と一緒にいただきなさい。」
雪那の両親に言われ、沙雪の友人達は嬉しそうに「はーい!いただきます!!」と声を上げる。しかし雪那は「私、ちょっと疲れちゃった……お昼寝してからにするね」と答え、立ち上がってノロノロと歩き出した。何か声をかけようとした彼らだが、出来なかった。目についた雪那の微苦笑に影が落ちていたからだ。生家へと歩いて行く雪那の後ろを、彼らはただ黙ってついていった。
自分の部屋に入るなり、雪那はベッドに倒れ込んだ。あの場所に居るのが嫌だった。とっくに立ち直れたと思っていたのに……まだ頭痛がする。
雪那は、誰かが死ぬことは“忘れられる”ということだと思っているらしい。いつまでも覚えられている人など、この世にそう居ない。だからこそ、自分だけは沙雪を忘れたくなかったのだ。
──例え世界中の全ての人が、沙雪の存在を忘れてしまったとしても。
「そういえばそうだったわ!真帆ちゃんと香奈ちゃんと詩織ちゃん、いつもありがとうね。雪那、三人と一緒にいただきなさい。」
雪那の両親に言われ、沙雪の友人達は嬉しそうに「はーい!いただきます!!」と声を上げる。しかし雪那は「私、ちょっと疲れちゃった……お昼寝してからにするね」と答え、立ち上がってノロノロと歩き出した。何か声をかけようとした彼らだが、出来なかった。目についた雪那の微苦笑に影が落ちていたからだ。生家へと歩いて行く雪那の後ろを、彼らはただ黙ってついていった。
自分の部屋に入るなり、雪那はベッドに倒れ込んだ。あの場所に居るのが嫌だった。とっくに立ち直れたと思っていたのに……まだ頭痛がする。
雪那は、誰かが死ぬことは“忘れられる”ということだと思っているらしい。いつまでも覚えられている人など、この世にそう居ない。だからこそ、自分だけは沙雪を忘れたくなかったのだ。
──例え世界中の全ての人が、沙雪の存在を忘れてしまったとしても。