空のギター
「瞳さん、どうかしたんですか?」
みんなの目が一斉に瞳へ向く。彼女は少し驚いたのか、瞬間ビクリと肩を震わせた。瞳は「あ、ちょっとね……」と言い、その場をやり過ごそうとする。だが、心配そうな沢山の視線に負け、彼女はその寂しげな表情の理由を語り始めた。
「……実は私、去年夫を亡くしたシングルマザーなの。この曲聴いてたら、主人を思い出してジーンときちゃって……」
──彼女の話はこうだった。彼女の夫・遥介(ようすけ)と出会ったのは高校生の時。初対面の印象がお互い悪かった二人だが、いつしか強く惹かれ合い、付き合うようになったのだという。
高校卒業後は、遥介は大学、瞳は専門学校と離れたものの、同じ県内に互いの学校があり、連絡を取り合っていたそうだ。懐かしそうに話す彼女が、雪那達の目には少女のように映った。
「それから三年付き合って、一昨年の冬、プロポーズされたの。」
その数ヶ月後、瞳は子供を身籠ったらしい。微かに笑顔を浮かべていた彼女だが、段々と声に張りがなくなっていく。その年の春から、遥介の体調不良が続いた。おかしいとは思っていたが「大丈夫だ」と言う彼を信じたのだそうだ。
みんなの目が一斉に瞳へ向く。彼女は少し驚いたのか、瞬間ビクリと肩を震わせた。瞳は「あ、ちょっとね……」と言い、その場をやり過ごそうとする。だが、心配そうな沢山の視線に負け、彼女はその寂しげな表情の理由を語り始めた。
「……実は私、去年夫を亡くしたシングルマザーなの。この曲聴いてたら、主人を思い出してジーンときちゃって……」
──彼女の話はこうだった。彼女の夫・遥介(ようすけ)と出会ったのは高校生の時。初対面の印象がお互い悪かった二人だが、いつしか強く惹かれ合い、付き合うようになったのだという。
高校卒業後は、遥介は大学、瞳は専門学校と離れたものの、同じ県内に互いの学校があり、連絡を取り合っていたそうだ。懐かしそうに話す彼女が、雪那達の目には少女のように映った。
「それから三年付き合って、一昨年の冬、プロポーズされたの。」
その数ヶ月後、瞳は子供を身籠ったらしい。微かに笑顔を浮かべていた彼女だが、段々と声に張りがなくなっていく。その年の春から、遥介の体調不良が続いた。おかしいとは思っていたが「大丈夫だ」と言う彼を信じたのだそうだ。