空のギター
その日から雪那は、音楽に関わることを一切やめた。大好きなギターは押し入れの中で埃を被り、愛用のコンポは長い眠りに就き、軽音部にも顔を出さなくなった。学校には通ったが、帰宅すれば部屋に閉じ籠もる毎日が続く。両親の励ましも通用しない彼女を心配した頼星が家を訪れても、やはり雪那は塞ぎ込んだままだった。
「……私、何のために生きてるんだろうね……?」
雪那がそう呟いた時、頼星は当惑顔をした。困らせることは分かっていた。だが、口にせずには居られなかったのだ。少しずつ増えてきたファン達とは約束したが、一人で路上に立てる程自分は強くない。沙雪が居なければ、歌は歌えない……心中で嘆いていた雪那を救ったのは、頼星のとある言動だった。
「……今のお前、ありえないくらいカッコ悪いぞ。つーかムカつく。」
そう言った頼星が鞄から取り出したのは、一枚のCDだった。雪那が大好きな水色を背景に、二人の少年の顔のアップが写っているジャケット。雪那のコンポが、久し振りに目を覚ました。
どんなに辛く悲しいことも、“運命”だなんて思わないで欲しい。どんな明日(あす)でも生きろ。その歌が、雪那を救ってくれた。
「……私、何のために生きてるんだろうね……?」
雪那がそう呟いた時、頼星は当惑顔をした。困らせることは分かっていた。だが、口にせずには居られなかったのだ。少しずつ増えてきたファン達とは約束したが、一人で路上に立てる程自分は強くない。沙雪が居なければ、歌は歌えない……心中で嘆いていた雪那を救ったのは、頼星のとある言動だった。
「……今のお前、ありえないくらいカッコ悪いぞ。つーかムカつく。」
そう言った頼星が鞄から取り出したのは、一枚のCDだった。雪那が大好きな水色を背景に、二人の少年の顔のアップが写っているジャケット。雪那のコンポが、久し振りに目を覚ました。
どんなに辛く悲しいことも、“運命”だなんて思わないで欲しい。どんな明日(あす)でも生きろ。その歌が、雪那を救ってくれた。