空のギター
「私、元気ですよ!まぁ、暫くは音楽から離れちゃってましたけど、今はまた、“この子”と一緒に歌ってますから!
そっか……遥ちゃん、こんなにおっきくなったんだぁ……」
相棒をケースに寝かせ、雪那は遥を抱き上げる。二年前よりもズシリと重い。“あぁ、この子も生きてるんだな”と思った。軽く考えてしまったこともある命の重さを、体全体で感じる。
遥は嬉しそうにキャッキャッと笑っている。小さい時にあやしてもらった記憶が残っているのか、路上で見かけた雪那をしっかりと認識してくれた彼女。雪那は胸の奥が熱くなった。
「……あのね、瞳さん。私、お姉ちゃんが亡くなったこと、ずっと受け入れられなかったんだ。瞳さんみたいに、“大切なことを教わった”なんて思えなかった。
もっと一緒に居たかったのにって、そればっかりで。それってお姉ちゃんを縛り付けてただけだったんだよね、きっと。」
瞳は雪那の両目をまっすぐに捉える。そこには僅かな憂いも翳りも、もう見当たらない。代わりに、何か新しい“光”が、そこにはあった。
──雪那は進める。これからは何があっても、前を向いて歩いていける。直感的に、瞳はそう思った。
そっか……遥ちゃん、こんなにおっきくなったんだぁ……」
相棒をケースに寝かせ、雪那は遥を抱き上げる。二年前よりもズシリと重い。“あぁ、この子も生きてるんだな”と思った。軽く考えてしまったこともある命の重さを、体全体で感じる。
遥は嬉しそうにキャッキャッと笑っている。小さい時にあやしてもらった記憶が残っているのか、路上で見かけた雪那をしっかりと認識してくれた彼女。雪那は胸の奥が熱くなった。
「……あのね、瞳さん。私、お姉ちゃんが亡くなったこと、ずっと受け入れられなかったんだ。瞳さんみたいに、“大切なことを教わった”なんて思えなかった。
もっと一緒に居たかったのにって、そればっかりで。それってお姉ちゃんを縛り付けてただけだったんだよね、きっと。」
瞳は雪那の両目をまっすぐに捉える。そこには僅かな憂いも翳りも、もう見当たらない。代わりに、何か新しい“光”が、そこにはあった。
──雪那は進める。これからは何があっても、前を向いて歩いていける。直感的に、瞳はそう思った。