空のギター
「……ええっ!?」



 これには頼星以外のメンバー全員が声を上げた。高藤と硝子はある程度予測していたのか、やはりそうか……といった表情で頼星を見つめている。しかし、雪那達はそうはいかない。口々に批判的な言葉を飛ばす。



「何で頼星まで辞めるんだよ!!」

「ていうか二人共辞めるとか言うなよ!!」

「そうだよ!雪那と頼星が居ないとやってけないよ!!」

「俺達は五人で一つだろ!?」



 怒鳴るように言った雪那に続き、風巳・紘・光夜の、二人の辞職への反対意見が飛び交う。高藤は小さく唸っており、何やら考え込んでいる様子だ。硝子は彼をチラリと目の端に映し、五人を見つめながら優しい笑みを浮かべている。マネージャーというよりは、厳しい姉貴のような存在で五人を支えてきた彼女。たった今自分と目を合わせた頼星の気持ちが、何となく分かるのだろう。

 頼星は少しだけ口角を上げ、硝子から雪那へ視線を移す。その口が再び動いて、言葉を紡ぎ出した。



「……お前と一緒じゃなきゃ、意味ねぇんだよ。俺は、雪那とずっと一緒に活動してきた。だから、辞める時も一緒って決めてるんだよ。」
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