空のギター
 硝子は五人をぐるりと見回す。全員が頷いたのを確認すると、ニッコリ笑って言った。



「じゃあ本題に入るわね。あんた達五人には、グループとしてデビューしてもらうわ!」



 ──硝子の話によると、社長は一つ一つのパフォーマンスを別室モニターで見ていたらしい。その中でも、この五人が一際目を引いたのだという。ドラムの光夜・エレキの風巳・ピアノの紘・ベースの頼星・ギターの雪那。五人の採用は本当に早く決まった、と硝子は語る。



「あんた達はダンスも得意だし、声の調和も取れてるから文句なしだそうよ。それで音声学の先生によると、雪那と風巳の声が相性良いみたいなのよ。だから、雪那と風巳のツインボーカルでいくからね。」



 五人は真剣な眼差しで硝子の話を聞いていた。展開の早さについていけないのか、不安も窺える。しかし一方で、これから始まる“冒険”に対する希望も感じられた。



「まだ実感が湧かないかもしれないけど、ウチは仕事が早いからすぐに慣れるわ。明日から、早速レッスンに来てもらうわよ!」

「……えーっ!?」



 五人は驚いて声を上げた。いくら何でも早すぎだ……そんな表情を浮かべて。
< 20 / 368 >

この作品をシェア

pagetop