空のギター
「……みんなって、あのオーディション会場に居たんだよね?」



 暫く経った時、雪那が不意に呟く。頼星以外の三人が頷くと、雪那はニコリと笑って尋ねた。



「どんなステージだったの?詳しく聞かせてよ!風巳は確か、俺の何人か前に居たよね?キレが良いエレキの音がしてたの、覚えてるよ!」

「あ、俺も知りたい。光夜と紘はデモテープ持ってったのか?ドラムとピアノは流石に運べないよな。」



 オーディションを“ステージ”と言った雪那と、自分達のパフォーマンスを知りたがる頼星。光夜達三人は、二人がオーディションを楽しんでいたのだということを瞬時に悟った。

 ──そう、自分達と同じように。



「そうそう!よく分かったね?俺も雪那のこと覚えてるよ!自分の番が終わって出てきたら、控え室がありえないくらいシーンとなってるんだもん。そしたら、その中心に居たのが怖い顔してる雪那だったからさ、ダブルで驚いた!!」



 風巳がクスクス笑いながら言うと、雪那は「あれはちょっと……後から考えたらマズかったかもね」と苦笑する。頼星がうんうんと頷いたのを見て、光夜と紘が小さく吹き出した。
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