空のギター
明日(あす)へと
急ぐ時の速さに、
驚いてしまうこともある。
遅れてゆくのが怖くなって、
人に合わせることもあるだろ?

きっと速すぎる毎日と、
自分のペースを
比べてるんだね。
広がる空を見上げてごらん。
忘れてたこと、
見えてくるから。

君の真上を流れる雲は、
いつでも自分の速さで進む。
辛くなったら、思い出してね。
君の速さで、歩けばいいんだ。





 切なくも優しい声・サビ部分の五つの声で歌われたのは、悩みを抱えた全ての人々に贈られる『Song for You』の2番の歌詞だ。『バンビーナ』が“動(どう)”なら、この曲は“静(せい)”を表していると言えるだろう。クラシック調の優雅な響きに負けない五重奏は、やがてSetsunaとKazamiによるハーモニーに変わる。互いの目を見て呼吸を合わせる二人。観客の心の中で、時がピタリと止まる。





こんな言葉を
かける資格は、
僕にはないかも
知れないけれど、
君のことが大切なんだ。
心にいつも、僕がいるから。



ひとりぼっち
なんかじゃないから。





 二つの声が溶け合う瞬間を、みんなずっと待っていたのかもしれない。恍惚とした溜め息が、誰からともなく洩れた。
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