空のギター
「雪那。今日って確か、Quintetの三人が来てくれるって言ってなかった?」



 耀人が尋ねると、雪那は首を縦に振る。数日前にメールした時は全員来られるという返事だったのだが、もうすぐライブが始まるというのに、三人はまだ姿を現さない。



「その筈なんだけど……あっ!」



 そう言って雪那が指差した先に噂の三人、光夜・風巳・紘が颯爽とこちらに向かってくるのが見えた。突然のQuintet参上に、街角がにわかに騒がしくなる。



「遅くなってごめんな!」

「みんな頑張れよー!」

「お手並み拝見だねっ!」



 三人が現れて雪那と頼星と合流すれば、歓声が一際大きくなった。その様子を見た耀人が思わず呟く。



「凄いな……やっぱプロは違うな。」

「うん。でも、俺らも負けらんないよ!頼星達は元々俺らと活動してたんだし!!」



 目に力を込めて言う叶の言葉には、“付き合いの長さ”を大切に思う気持ちが隠っている。侑と都香、耀人は深く頷いた。



「そうだよね!ウチらの方が一緒に居る期間長いんだし!!」

「うん、久々に六人で頑張ろう!」

「俺達だって、二人の友達だもんな……」
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