空のギター
「……まったくあんた達は!事務所の許可なく勝手な行動しちゃダメでしょう!?何も起こらなかったから良かったけど、事件に巻き込まれることだってあるんですからね!!」



 部屋の中央でまくし立てる硝子の前で縮こまっている五人。か細い謝罪の声が、ポツリポツリと聞こえてくる。そんな彼らを見た硝子は大きく溜め息をついた。元は雪那と頼星が学校の仲間達と課外活動をしていただけだと聞いたし、何より五人は歌とダンスが大好きなのだ。高藤社長の「まあまあ山内君、そうカッカするんじゃないよ。幸せが逃げるぞ!」という台詞と豪快な高笑いが、硝子の脳内でこだまする。



「……まぁ、幸い社長はお怒りじゃないようだったし、『宣伝効果があれば良いんだが』なんて呑気なことをおっしゃってたから大丈夫よ。
ただマネージャーの私としては、次からはちゃんと相談して許可を取って欲しいの。光夜、これからは連絡よろしくね。」



 優しくなった硝子の口調に漸く肩の力が抜ける。光夜が「本当にすみませんでした。これからもよろしくお願いします!」と言い、五人揃って頭を下げる。硝子は笑って言葉を返した。



「こちらこそ、これからもよろしくね!」
< 254 / 368 >

この作品をシェア

pagetop