空のギター
 深々とお辞儀をするSetsunaに温かい拍手が贈られる。Kouya達四人は、そんな彼を優しい目で見守っていた。間もなく、他の出演者にも話が振られ始める。



「結城さんは二度目の映画出演ですが、いかがでしたか?前作の不良少女役も、私は凄く印象に残ってるんですが……」

「アハハ!あれは強烈でしたもんね。お手紙をくれたファンの方々にも、『沙絵利ちゃんってあんな演技も出来るんですね!』ってびっくりされたんですよ。
今回はちょっと訳ありな中学生の役でしたけど、自分と同い年ということもあってのびのびと演じられたような気がします。特に文化祭のシーンは、みんなと一緒になって、我を忘れてはしゃいじゃいました!」



 嬉しそうに語る沙絵利を見て、ステージ上の人達もマスコミや観客も笑顔になる。司会者は「文化祭のシーン、素敵でしたもんね!」と相槌を打った。



「織春さんも、Setsunaさんと同じく演技初挑戦ですよね。文化祭のシーンはいかがでしたか?」

「凄く楽しかったです!監督からも『このバンドでCDデビュー出来るんじゃない?』って誉められました!!」



 司会者の隣で、監督がうんうんと頷く。会場からは歓喜の声が上がった。
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