空のギター
 今回五人が歌った、映画主題歌である『光』だが、このCDの初回封入特典として、映画が500円割引で観られる券とミニポスターが付いている。ポスターの表はプロモーションビデオのワンシーンを切り取ったもの、裏は映画の冒頭部分を切り取った、Setsunaが夜の街角でギターを弾いているものだ。

 Setsunaを除く他のメンバーは、場内の観客やマスコミと共に、今日初めて映画を観た。司会者から四人への質問が始まると、Setsunaは緊張からか、少しだけ顔を強張らせた。



「先程皆さんは映画をご覧になった訳ですが、個人的にお気に入りのシーンはありますか?」

「俺は文化祭のシーンです!さっきから何度も出てきてるけど、めっちゃ青春って感じしませんか?みんなもそう思うよねーっ?」



 真っ先に答えたHiroが客席に向かって問えば、所々から同意の声が聞こえる。するとKouyaが、「俺は音楽室のシーンかな」と言った。



「ほら、亮人がギター弾いてるのを瑶子がこっそり覗いてるやつ!『……何覗いてんだよ。』って言う時のSetsuna、ちょっとかっこよくなかった?」



 Kouyaの言葉にまたもや観客が同意する。誉められたSetsunaは、照れ臭そうに笑みを浮かべた。
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