空のギター
「雪那、どうかした?」



 光夜が声をかけると、雪那は「うん」と呟いて、小さく笑う。首を傾げる四人に向かって、彼は口を開いた。



「いつか聞こうと思ってたんだけど……みんなの名前の由来って、どんなのかなぁって思って。」



 成程、というように首を縦に動かした四人。五人共があまり見かけない珍しい名前だから、雪那が気になるのも頷けるのだろう。そんな彼に微笑して、頼星が真っ先に答えてくれた。



「前に言ったかもしれないけど、ウチの親、天文関係が好きだったんだよな。それで、宇宙に関する名前を子供に付けたかったらしくてさ。
俺の名前は……昔の人って、星を道しるべにしてたんだろ?だから、“誰かが困った時に頼りにされるようになれ”って意味で付けたみたい。」

「へぇー……良い名前だよね!」



 雪那がニコリとすると、頼星は照れたようにそっぽを向く。途端に吹き出した三人を睨み付けてから、頼星は風巳に尋ねた。



「風巳は?」

「俺?俺は名前通りだよ。“風の子”って意味!」



 健康で居て欲しいって意味を込めてくれたんだろうね、と呟いた風巳。その脳裏には、福岡に居る父母の姿が浮かんでいるのだろう。
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