空のギター
「紘は?」

「うーんとね、俺は“広くて大きい心を持つように”で、紘なんだって!」



 随分前に祖父母に聞いたのだと続けた紘は、雪那に答える。「紘はこれからそうならなきゃなー」と言う頼星に、「あと一頑張りじゃない?」とクッションを添える光夜。メンバー同士の会話も、一年経てばプロのジャグリングを見ているような、スムーズで愉快なものになった。心の何処かで、五人もそれを感じていることだろう。



「光夜の名前はどういう意味があるの?」



 雪那が尋ねれば、光夜はニコリとする。彼は「この前お母さんに聞いたんだけど……」と話し始めた。



「俺はね、“どんな場所でも光れるように”って意味。それから、誰かの心が暗くなった時も照らせるように、って付けてくれたみたいだよ。」

「光夜の両親もセンスあるねー!光夜にぴったりだもん。」



 そう言って笑った雪那が、急に真面目な顔付きになる。四人は、彼が次に紡ぐ言葉を待った。



「……突然こんなこと聞くなんて変かもしれないけどさ。みんなの名前の由来を知ったら、もっと仲良くなれるような気がして。もう既に、みんなが本当の兄弟みたいな感じなんだけどね!」
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