空のギター
 ──一同は雪那を扉の向こうに見送ってから、暫くの後、再び彼女と対面した。もうほとんどが、白い灰になってしまっている。人間は、死んだらこんなに空虚なものになってしまうのか。いつも笑顔を絶やさなかった彼女を思い出すと、体中の水分が涙になってしまいそうだった。

 頼星・紘・光夜・風巳は、雪那の両親や親族に混ざり、骨壺に遺骨を納めた。もう会うことが出来ないと知っているからか、ゆっくり、ゆっくりと。



「……みんな、行こう。マスコミがいっぱい居て辛いかもしれないけど、俺達もケジメ付けなきゃな。」



 光夜が言うと、頼星達三人が頷く。マスコミはきっと、“雪那が隠していたこと”について触れてくるだろう。四人は無意識の内に視線を交わらせ、無言で頷き合っていた。

 高藤が運転する車に、四人と硝子が乗り込む。助手席のマネージャーが「あんた達、しっかりね」と告げると、四人は揃って首を縦に振る。“自分達の決断”に、迷いはないようだ。

 記者会見の場所へ到着すると、一行は緊張の面持ちで建物内に入る。ある一室だけが、妙に騒がしい。六人が入室すると、ざわめきが一気に大きくなった。
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