空のギター
 会場には、多くの報道陣が詰めかけていた。沢山のフラッシュが光ってマイクが向けられる中、光夜が意を決したように口を開く。



「皆さんのほとんどは、もう予想してたかもしれませんが……Quintetは、今日をもって解散します。」



 光夜の言葉で無数のシャッターが切られる。無遠慮なその音に怒りを感じそうになるが、この会見が終わるまでは、自分達は芸能人なのだ。いくら心の中で、“もう自分達は一般の学生なんだ”という気分になっていたとしても。



「……みんなで話し合って決めました。きっとファンの中には、続けて欲しいと思う方も居ると思います。でも、僕達は……」



 風巳が言葉を詰まらせる。それを補うように、紘がサッと口を開いた。



「僕達は、“五人一緒”じゃなきゃ意味がないんです。勝手かもしれませんが、ファンの皆さんには分かってもらいたいです。雪那あってのQuintetだから。僕達の誰か一人でも欠けたら、五重奏は成り立ちません……」



 震える声をいつも通りに保ちながら言う紘。頼もしく思える彼の心の中にも他のメンバー達の胸にも、きっと雪那が居る。だからこそ、ここで話が出来るのだろう。
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