空のギター
「雪那は、俺達にとって凄く大きな存在でした。むしろ大きすぎるくらいで……正直言って、まだ受け入れきれません。
ファンの皆さんも、同じだと思います。俺達も、ゆっくり受け入れていきます。だから、どうか悲しまないでやって下さい。」



 頼星は幾分落ち着いた様子だったが、発言中はやや下を向いていた。この言葉を紡ぐにも、相当の勇気が要っただろう。やがて四人は、自分達の“これから”について語り始めた。リーダーの光夜から、静かに口を開く。



「僕は、この春から家族と一緒に暮らせることになって……施設の皆さんには凄く感謝しています。
だから、お世話になった先生達に何か恩返しがしたいです。出来れば、音楽で。仕事でやってきたことを活かすって決めたこと、雪那もきっと望んでくれると思います。」



 QuintetのKouyaとしてやってきたことを、とても誇りに思う。光夜はそう続け、風巳に視線を送った。



「僕は、ずっと五人で働いていくと思ってたから、ちょっとまだ考えられないです……
でも、音楽は続けると思います。雪那が誉めてくれたデザイン関係の仕事も、いつかやってみたいです。」
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