空のギター
 金持ちも貧乏人も、器量が良くても悪くても、人間が最後に辿り着くのは“死”という場所。時には若い内にそこへ着いてしまう人も、みんなに惜しまれながらも旅立ってしまう人も居る。

 理解出来ない……と嘆いてしまうこともあるが、そんな世界で自分達は出会ったのだ。良くするも悪くするも、自分達次第ではないか──雪那はそう訴えている。まっすぐな言葉が並ぶ歌詞は、耳に心地良かった。





君はもう、いないけれど
僕の歌に生き続けるね
色褪せないで、何度でも
僕に笑顔をくれるよね?

僕らは笑って、時に泣いて
生きていると実感するね
大切なこと教えてくれた
君に贈るよ
“ありがとう”





 彼女の歌に、自分達も教わった。いつまでもこの別れを嘆いていては、いけない。彼女は先へ行く準備を、当の昔に終えていたというのに。

 だが、涙は止まらない。“あと少しだけ泣かせてくれ”と、全員が心中で彼女に断った。そんな時、彼女の歌も終わりを迎える。





溢れゆく思い達を
どうすればいいか
分からないけど
僕は今、歌に込めたよ
きっと
きっと、それでいいよね
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