空のギター

スタートライン

 この日は某CDショップでのデビューイベントがあり、五人は確認のため、朝からS.S.Gに集まっていた。私服姿の五人に、硝子が大まかな流れを説明している。



「それにしても雪那……あんた大したもんね。」

「え、何がですか?」



 不思議そうに尋ねる雪那に、硝子は更に不思議そうな顔を見せた。“この世界”に立ったのに自分の才能を誇示しない雪那を珍しい子だと思ったのだろう。硝子は雪那をまじまじと見て言った。



「デビュー曲よ!プロデューサーの方から『是非採用したい』だなんて……元々予定してた曲はカップリングになっちゃうし。」

「確かに……まさか本当に採用されるなんてな。俺らもびっくりしたよなぁ?」



 光夜の言葉に紘・風巳・頼星が頷く。それぞれの目には希望の輝きが見えるようだ。



「雪那は歌上手いし、ほんとびっくりしたよ!何か、引き込まれるっていうか。風巳とのハモりだと更に良いよね!!」

「雪那って音域広いよなぁ。高低の使い分けが出来るなんてほんと凄いよ!」



 紘は凄い・上手いと連発し、風巳は雪那を尊敬の眼差しで見つめている。雪那は照れ臭そうに笑い、「ありがとう」と言った。
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