空のギター
 ピシッ、と固まる会場の空気。間もなく、乾いた笑いがところどころから聞こえ、「逃げちゃったんだ……」とSetsunaが苦笑する。



「だって、どう反応して良いか分かんないだろ!?」

「確かに……」

「ほら!Raiseiは分かってくれるやんかー!!」

「Kazami、方言出てるよ。」



 呆れたKouyaが普通にすれば良いのに、と呟けば、司会者はにこやかに笑って「ええ。その方がファンの皆さんも嬉しいと思いますよ!」と言う。「そういうもんですかねぇ……じゃあ、次は頑張ります!」というKazamiの言葉で、会場は和やかな雰囲気に包まれた。



「では、曲紹介をお願いします。」

「はい。今回のデビュー曲は、皆さんもご存知の通り、Setsunaが作りました。プロモでは、Setsunaが作った詞の世界に合わせて“卒業式の後”という設定で演技にも挑戦したんですよ。」



 Kouyaが言うと客席から、おぉーっ……という感嘆の声が洩れた。照れ臭そうに笑う五人に、何処からか「可愛い!」という声が飛ぶ。「あんまり嬉しくないなぁ……」と笑うKazamiの言葉で、会場は再び笑いに包まれた。
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