空のギター

　──数日後。都内某所には若い女の子達の人だかりが出来ている。今日はQuintetが出演するラジオの公開生放送の日なのだ。訪れたファン達は手を振ったり、持参のスケッチブックに何かを書いたりして、五人の気を引こうと必死である。五人とDJの男性は思わず笑みをこぼした。

　時刻は午後１時。何処からか聞こえる時報を合図に番組がスタートした。軽快なBGMを聞きながらタイミングを見計らい、DJが喋り始める。



「さぁ、今週も電波に乗せて音楽をお届けする番組、“電音─DENON─”が始まりました！今日のゲストはー……おぉっと！ファンの皆さんの歓声が凄いです!!
そんな大人気の本日のゲストはこの方々！Quintetの皆さんでーす!!」



　DJの紹介で、五人は「よろしくお願いしま～す!!」と揃って挨拶した。ガラスの向こう側に手を振ることも忘れない。ファン達はそれだけで絶叫した。



「今日はいつにも増してスタジオが賑やかになりそうですねぇ……僕もびっくりです。」

「いつも公開の時はこんな感じなんですか？」



　Kouyaの素朴な疑問にDJは「はい！それはもう!!」と高らかに笑った。