空のギター

強敵現る

 4月になり、五人はそれぞれ進級した。光夜は高3に、風巳は高2に、紘は高1に、そして、雪那と頼星は中3になったのである。



「みんな久し振り!元気だったか?」



 再会の楽屋に光夜の明るい声が響いた。誰もが嬉しそうに目を輝かせている。



「光夜全然変わってねぇなぁ!!」

「当たり前だ!一ヶ月かそこらで急に変わるわけないだろ?」



 笑いながら言った風巳の肩を、光夜はバシッと叩く。まるで漫才のようなやり取りに、他の三人は思わず笑ってしまった。



「雪那も頼星も全然変わってないねぇ!中3になったんだよね?」



 紘が二人を見て嬉しそうに言う。すると頼星は「おう。紘は相変わらずチビだな」と、ニヤリ、笑って返した。



「……酷いよ。雪那、向こうに居る間に被害受けたんじゃないの?」

「あー……俺は紘と違って慣れてるから、全然平気だよ。その内頼星の性格も分かってくるから、気にしない方が良いよ!」



 紘は少々落ち込んだらしかったが、にこやかに言う雪那を見てホッとしたのか、携帯用ゲーム機を手に取って遊び始めた。何とも切り替えの早い性格である。そんな彼を見て、四人は微笑を浮かべた。
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