空のギター
「何言ってるんですか!?私そんなことしてません!!」



 織春はキッと睨みを利かせる。やっていないという証拠でもあるのか、とタレント達。織春は言葉を詰まらせた。



「大体、大物女優さん達に対して態度でかいのよ!疑われても仕方ないんじゃない?」



 下唇を噛んで怒りに耐える織春。すると、何人かのスタッフ達が小声で話し始めた。誰かの「落ち着け!」という叫び声も届かない。



「あぁ……あの子、ああいう性格だからやりかねないよな。」

「自作自演ってこと?酷いわね……」

「俺達の苦労を何だと思ってるんだよ!」

「違います!私じゃありません!!」



 織春が必死に訴えるが、ほとんどの者が疑っていたのだろう。織春を厳しい目で見て、怒りを剥き出しにしている。それを見たタレント達はニヤリと笑った。



「ほんとに、私じゃ、ないですっ……」



 織春が目に涙を溜めながら言うが、タレント達は尚も織春を中傷する。



「この子、今日の“Sounds Good!”のトリらしいよー。」

「うわ、それはナシでしょ!」



 織春の目から雫が落ちそうになったその時。代わりの衣装がやっと到着した。
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