大好きな君の隣で
私は、手の動きに集中しすぎて足を全然見ていなかった。
そのせいで思いっきり足をひねってしまった。
「痛っっっ!!」
「ちょっと!!大丈夫?!?!?!」
桜が心配そうに駆け寄ってくれた。
「だ、大丈夫、大丈夫!!ちょっとひねっただけだから!」
「でも...このまま続けたら...」
「大丈夫、大丈夫!!振り覚えないと!!難しいからね!」
「ほんとに...大丈夫なの?」
「大丈夫だよ~?」
「なら...いいけど、痛くなったらすぐに保健室にいくんだよ?」
「うん。わかってるって!」
ひねったことなんて何回もある。
こんなのすぐ治る。
そう思っていたけど...想像以上の痛さだった。
今までに感じたことのない痛みに襲われていて...
このまま耐えきれるかは時間との戦いだった。
でも、桜にあんまり心配されるとなんか、変にプレッシャー感じちゃうし...

結局、私は、桜に心配かけないために部活まで我慢した。
ここまで、よく耐えきれたと自分で自分のことをほめたいぐらいだった。
とりあえず、今日の部活は休んで保健室にいこう。
私は、そそくさと保健室に向かう。

「失礼します...」
私は、恐る恐る保健室の扉を開ける。
すると、そこには、保健の先生ではなくて、辻村君がいた。
「あ、あれ?保健の先生は知らない??」
「お、俺も探してる。」
「そっか...辻村くんは何しに来たの?」
「部活の仲間の一人が湿布ほしいんだけど、そっから動けないってなってて、それで俺がとりにきた。あんたは?」
あ、あんたって...。
名前教えたはずなのに...
「私は、体育の時間に足をひねっちゃって...。あまりにも痛かったからここにきたの」
「へぇ...体育って何時間目だったの?」
「3時間目。」
「はぁ?!あんた、それはないだろ。なんで我慢してたんだよ?」
「だ、だって!!友達に変な心配かけたくなかったから。放課後でいいかな~って思ったから...てか、そんなことより、私、湿布の場所しってるからそれもってはやく行きなよ。部活の仲間がけがしたんでしょ?」
「ま、まぁな...。てか、湿布の場所しってるなら、お前の手当てもしてやるよ。」
「そんなのいいよ。勝手に湿布持ってくと怒られちゃうし、一応、持っていきましたってこと保健の先生に伝えておくから。先にいきなよ。」
そういって私は、湿布を3枚ほど彼に手渡す
「さ、さんきゅーな。」
そういって彼は保健室を出ていった

「ふぅ~。それにしても保健の先生どこいっちゃったんだろう...」

すると、保健室の扉が開いた。
「あ、先生~!遅いですよ....って辻村君?!」
「あ、先生じゃなくてわりぃ。でも、ほっとけなくてさ。」
「え?!誰のことが?!」
「お前のことだけど?」
「え?なんで?!意味わかんないんだけど?!」
「お前は天然かよ。ただ目の前で足を痛そうにしてたからほっとけなかっただけだっつーの」

あれ...辻村君の頬が赤く染まっているのは、気のせいかな?
保健室の窓から注がれている夕日のせいかな

「と、とりあえず手当してやるから足かせよ。」
「あ...ありがと...」
男の子に足をこんなにみられたことなんてないから、めちゃくちゃ恥ずかしい!!
早く終わってくれないかな~...!!!!
「すげぇ、はれてんな...よく放課後まで我慢できたな」
そういって彼は、ポンと私の頭をなでてくれた。

私...きっと今、すごく顔が赤い...
恥ずかしすぎる。

てか...辻村君の手って思っていたよりもはるかに大きくて。
それにあったかくて...なんだろう...

ぬくもりを感じる。


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