Blue Bird
「ううん。大丈夫」

笑ってみせるけれど瞹くんの表情は心配そうなままだ。

「なにか悩み事ですか?」


「そうだね。ちょっと悩んでる」

事件についてあれからずっと考えていた。でも考えれば考えるほど同じ傷害にたどり着いてしまう。どう考えても兄が黙秘する理由がなかった。


「あ、瞹くん。ちょっと聞いてもいい?」


「はい、何でしょう」


「以前勤めてた柚木陸の事件知ってるよね。その事件の被害者の人って会ったことある?」
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